屋根工事は、住宅・建物の耐久性や安全性に直結する重要な工事です。これから建設業許可を取得して事業の幅を広げたいと考えている方にとって、「屋根工事業」が自分の業務に該当するのか、また許可取得のために何が必要なのかは気になるところでしょう。
本記事では、屋根工事業の定義や代表的な工事内容、建設業許可の取得条件や注意点について、わかりやすく解説します。
屋根工事業とは?
屋根工事業とは、建設業法に基づく29業種のうちの一つで、「瓦、スレート、金属薄板等によって屋根をふく工事を行う業種」とされています。
つまり、住宅やビルなどの建物における屋根材の施工や修繕、交換などが該当します。雨風や雪から建物を守るという重要な役割を担う工事であり、見た目以上に専門性が高く、確かな技術が求められる分野です。
屋根工事の具体例
実際に屋根工事業に該当する工事の具体例を以下に紹介します。これらの工事を請け負っている場合、原則として建設業許可(屋根工事業)を取得する必要があります。
1. 瓦屋根の葺き替え・修理
和瓦・洋瓦・セメント瓦などの屋根材を使った葺き替えや、ズレ・割れなどの修繕工事。
2. 金属屋根の施工
ガルバリウム鋼板やトタン、銅板などを使用した金属屋根の新設・張替え・重ね葺きなど。
3. スレート屋根の工事
カラーベストなどのスレート材を用いた屋根施工や塗装・防水処理。
4. 雨漏り補修や下地補強
屋根材の交換に加え、野地板やルーフィング(防水シート)の補強・交換も該当します。
5. 太陽光パネル設置に伴う屋根の補強・工事
パネルの設置自体は電気工事に該当する場合もありますが、取り付けのために屋根構造を改修・補強する工事は「屋根工事業」に含まれることがあります。
「屋根工事業」に該当しない工事例
以下のような業務は、屋根工事とは別の業種に分類される可能性があります。
- 屋根の塗装のみ → 塗装工事業
- 太陽光パネルの設置(電気配線含む)→ 電気工事業
- 雨樋の設置・交換 → 板金工事業や管工事業
このように、業務内容によって必要な業種が異なるため、許可取得時には慎重な判断が必要です。
許可が必要なケースとは?
建設業許可は、1件あたりの請負代金(消費税込)が以下の金額を超える工事を行う場合に必要です。
- 建築一式工事:1,500万円以上(または木造住宅で延べ面積150㎡超)
- 上記以外の工事(屋根工事など):500万円以上
つまり、屋根の葺き替えや修繕で請負額が500万円以上になる場合は、原則として「屋根工事業」の許可が必要です。
屋根工事業の許可を取得するための条件
建設業許可を取得するには、次の4つの要件を満たす必要があります。
1. 経営業務の管理責任者がいること
過去に5年以上、または関連業種での7年以上の経営経験がある人が必要です(法人では役員に該当)。
2. 専任技術者がいること
次のいずれかを満たす人材が常勤している必要があります:
- 10年以上の実務経験(学歴・資格なしでも可)
- 高卒+5年以上の実務経験
- 大卒+3年以上の実務経験
- 建築施工管理技士などの有資格者
※屋根工事業は1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)などが該当
3. 財産的基礎があること
一般建設業の場合:
- 直前の決算で自己資本500万円以上、または
- 500万円以上の預金残高証明書が提出可能
4. 欠格要件に該当しないこと
過去に許可取消処分を受けた者や暴力団関係者などは許可を受けられません。
屋根工事業で許可を取得するメリット
・大型案件の受注が可能に
許可があれば500万円を超える案件にも対応可能となり、ビジネスの幅が大きく広がります。
・元請けや大手企業からの信頼獲得
ハウスメーカーやゼネコンとの取引では、許可の有無が条件となることも多く、取得しておくことで選ばれやすくなります。
・公共工事への参入も視野に
将来的に公共施設や学校・公営住宅の改修工事などにもチャレンジ可能となります。
まとめ:屋根工事業の許可取得は成長への第一歩!
屋根工事業は、瓦・スレート・金属屋根の葺き替え・修繕などを行う専門性の高い分野です。請負金額が500万円を超えるような工事を行うには、建設業許可の取得が必須となります。
これから事業の拡大や安定的な受注を目指す方にとって、屋根工事業の許可取得は大きなステップになります。専任技術者や財務要件の確認などハードルもありますが、しっかりと準備を整えることでスムーズに取得できます。
「自社は屋根工事業に該当するか不安」「専任技術者が足りないかも…」という方は、建設業許可に詳しい専門家に相談するのも一つの手です。許可取得をしっかりとサポートしてくれる行政書士やコンサルタントの力を借りて、次のステージへと進んでいきましょう!
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