大工工事とは?

建設業を営む上で、「建設業許可」は非常に重要な要素です。その中でも特に馴染み深く、かつ広範囲な業務に関わるのが「大工工事業」です。しかし、「大工工事」とひと口に言っても、建設業法上の定義や許可の対象、他の業種との違いなどを正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか?

この記事では、「大工工事業」に該当する工事の範囲や、建設業許可との関係、許可を取得するためのポイントなどをわかりやすく解説していきます。これから建設業許可を取得したいと考えている方や、業種選定で迷っている方の参考になれば幸いです。


大工工事とは?建設業法上の定義

まず、「大工工事業」とは、建設業法施行令第1条の2第1号で定められた29業種のひとつです。建設業においては、それぞれの業種に対して「専門工事業」としての区分がされており、大工工事業もその中に含まれます。

建設業法上の「大工工事」の定義は以下の通りです。

木材を使用して工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事

もっとわかりやすく言うと、木材を用いて建物の骨組みなどを作る工事や、木製の建具や設備を取り付ける工事が「大工工事」に該当します。


大工工事に該当する具体的な工事例

以下は、一般的に「大工工事業」として扱われる工事の一例です。

  • 木造住宅の建方(柱・梁・桁などの組立て)
  • 木造の増改築工事
  • 木製階段の設置
  • 屋根の垂木や下地の施工
  • 木製床や壁、天井の下地づくり
  • 木製建具(障子・ふすまなど)の取付
  • プレカット材を使用した構造体の組立て
  • 一部の内装木工事(壁・天井パネルなど)

これらの工事は、いずれも木材を主な材料とし、構造物の形成や機能的な要素を持つ工事です。


他の業種との違い

建設業許可の業種には、「内装仕上工事業」や「建具工事業」など、木材を使用する点で似た業種も存在します。以下にそれぞれの違いを簡単にまとめます。

業種主な対象工事大工工事との違い
内装仕上工事業床・壁・天井の仕上げ(クロス貼り、ボード張り等)木造の下地工事が中心であれば大工工事に該当
建具工事業ドア・窓などの建具の製作・取付木製建具でも、取り付けだけでなく構造と一体になっている場合は大工工事になる

つまり、工事の内容や範囲によって、どの業種に分類されるかが変わってきます。そのため、実際の業務内容をよく整理し、適切な業種で許可を取得することが重要です。


大工工事業の許可が必要なケース

建設業許可は、以下のいずれかの条件に該当する場合に必要となります。

  • 一件あたりの工事金額(材料費+労務費の合計)が500万円(税込)以上の工事
  • 建築一式工事で1,500万円(税込)以上、または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事

つまり、大工工事においても、請負金額が500万円以上となる場合には建設業許可が必要になります。たとえば、戸建住宅の建方や大規模なリフォーム工事などは許可対象となるケースが多くなります。


大工工事業の許可を取得するための要件

建設業許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 経営業務の管理責任者がいること
     → 大工工事に関して5年以上の経営経験を有する者が必要
  2. 専任技術者がいること
     → 次のいずれかを満たす必要があります
     ・大工工事に関する実務経験10年以上
     ・大学等で所定の学科を卒業し、3年以上の実務経験がある
     ・建築士や建築施工管理技士などの国家資格を保有
  3. 誠実性、欠格要件を満たすこと
     → 破産して復権していない、禁固刑を受けて5年以内などに該当しないこと
  4. 財産的基礎があること
     → 自己資本500万円以上、または直前の決算で500万円以上の資産証明が必要

これらの条件を満たすことで、大工工事業の建設業許可が取得可能となります。


大工工事業で元請になる際のポイント

大工工事業で元請として工事を請け負う場合は、建築一式工事に該当するケースが多くなります。建築一式工事は「建築士や施工管理技士による監理・設計」と「施工体制の整備」が重要視されるため、特に木造住宅の新築や増改築を請け負う場合は「建築一式工事業」の許可も検討すべきです。

大工工事業単体の許可では、原則として建築一式工事の元請けはできません。そのため、事業の拡大や元請化を検討する場合は、他の業種の追加許可も視野に入れる必要があります。


まとめ:大工工事業の許可は建設業の基盤

大工工事業は、建設業の中でも特に基礎的で、かつ需要の高い業種です。特に木造住宅やリフォーム業では中核的な役割を担っており、許可を取得することで信用力の向上や大きな案件の受注が可能になります。

ただし、似たような業種との区別や、許可の条件などを誤解していると、思わぬトラブルの元にもなります。しっかりと要件や範囲を理解し、適切な許可取得を目指しましょう。


よくある質問(FAQ)

Q1. 小さなリフォームでも許可は必要ですか?
→ 工事金額が500万円未満であれば、原則として建設業許可は不要です。

Q2. 木材以外の材料も使う場合は?
→ 木材が主な材料であり、工事の性質が「大工工事」であれば該当します。複合的な内容の場合は他の業種も検討が必要です。

Q3. 一人親方でも許可は取れますか?
→ 条件を満たせば可能です。ただし、経営経験や技術者要件を別人で満たす必要があるケースもあります。

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